2012年12月 記
≪術後10年の雑感≫

 2001年11月に精密検査を受け、おしせまった12月5日に前立腺がんであることが判明しました。そしていくつもの検査を経て、2002年2月12日に生まれて初めての手術を受けることに。あと4か月で61歳になるという時でした。手術はうまくいって術後の治療はなく、そのご再発・転移もまぬがれ10年が過ぎました。

 話は変わりますが、ごく初期のすい臓がんが人間ドックで見つかったという人のお話を聞きました。こう書いてしまうと簡単ですがもっとドラマチック?な出来事です。人間ドックで看護師さんが、エコーで検査中に気になる映像を見つけます。その後著名な大学病院で再検査するも膵臓の異常は確認できないまま、先のエコーの映像を根拠に手術に踏み切ったところ、ごく初期の膵臓がんが見つかり無事処置出来たそうです。
 これを一般的には、かなり軽い意味合いで「偶然、もしくは、たまたま」と言いますが、ダンカン・ワッツ著『偶然の科学』では、社会や経済のメカニズムも歴史も「偶然」で動いている(ことが多い)、と述べています。

 60歳を契機に人間ドックではじめての腫瘍マーカー検査(前立腺がんと大腸がん)を受ける ⇒ PSA(前立腺がんマーカー)異常の指摘 ⇒ 泌尿器科の医師を紹介していただく ⇒ その医師の診察を受ける ⇒ まだ大丈夫との診断 ⇒ それでも針生検をお願いする ⇒ 6か所のうち1か所でがんが見つかる(初期のがん)、というのが私の場合で、このプロセスの中で一つでも欠けると前立腺がんの“早期発見”は難しかったと思います。
 このプロセスでも「偶然」がいくつもあります。人間ドックで腫瘍マーカー検査を追加したこと(腫瘍マーカーはいくつもあり何を優先したらよいか医師に事前に尋ねていたことも)、信頼のおける医師を紹介してもらったこと、針生検の検査を積極的に受けようとしたこと、針生検は6か所だけだったが小さながん組織を的中できたこと、等々です。さらに言えば、この年妹が大腸がんの手術を受けていて、私のがんに対する意識に変化があったことも。これらは「偶然」の連続と言っても過言ではないと思います。

 「運が良かった」ともいわれそうですが、よく経過を眺めるとわかるように、何もしなくて「運」が勝手に天から降ってきたのではない、と思います。膵臓がんの早期発見の話もそうです。「偶然」をもっと科学的に考える必要があるように思う今日この頃です。ところで皆さんは「宝くじ」を買っておられますか…。買わないと当らないし、買っても当たりませんよねぇ。



母が2011年11月にいわゆる老衰のため94歳で永眠しましたが、
もう一人の母92歳(妻の母)と一緒に暮らしています。
92歳の母はまだ元気ですが、一人で外出は無理です。
家に居ることが多く、猫も家族の一員となり、
時間にまかせて猫のホームページも作って一人楽しんでいます。